#16 失われたもの

鋼の錬金術師 ・人物紹介 ・内容の要点 ・アニメでの脚色 ・『鋼の錬金術師』に対する不満
・人物紹介
鋼兄弟=エド+アル 筋肉バカ=少佐 大総統=軍で一番偉い人 マルコー=賢者の石研究してた脱走軍人 
・内容の要点

大総統は大佐を部屋に呼ぶ。
脱走したマルコーにはイシュバール殲滅作戦で心の傷を残した筈で
悪いことをしたから、処分でなく保護しようとしていた、と話す。
大佐がいなくなった後、大総統は、賢者の石は存在しない、と、独り言を言う。


黒姉さんがマルコーの所に現れ、兄弟に賢者の石の資料が渡ると困るから、二人に教えた場所を吐け、と脅す。
マルコーと黒い一味に何かしら過去の関係があることが分かる。


壊れた右手を治すために、筋肉バカと一緒に故郷に戻る鋼兄弟。
自分たちを直した後、マルコーから聞き出した資料の場所へ行く予定。
機関車の積み荷として乗っていた弟アルは間違えて違う駅で降ろされる。
閑話開始。


弟は、賊の末端にいるガキと出会い、人を殺すと、体が痛くなくても心が痛いはずだと説く。

兄は、負傷軍人と出会い、「戦場では誰もが違う生き物になり過ちを犯し、外から見えないところに傷を負ったはずだ」と教わる。


・負傷軍人とエドの会話
負>失ったものがあるなら何か得たものがあるはずだ。
 それを等価交換というんだろ?
 かなってしまう夢が本当に夢とは言えん。
エ>それでも俺達は取り戻す。


・ラストシーンでの兄弟の会話
エ>大佐は俺達の出した手紙を〜
ア>たまたま見たからだって、父さんを探していた〜
エ>大佐は…もしかして…(大戦で負った心の傷があって来たのでは?=ウィンリイの両親を殺したことを悩んでいた)


兄弟の絆は強い。というエピソードを3回挟んだ。(駅、賊、鋼)


・アニメでのストーリー脚色について
漫画では話の核は解りにくく、アニメではそれを分かりやすく描こうと頑張っている。
総ての悲劇の根底にはイシュバールの戦争が関係している。
戦争に参加した者は、心の傷を受け、償い所を探して動く。
イシュバールの民は錬金術を否定するが、賢者の石に関係した古い技術を有す。
軍は昔から賢者の石の研究をしており、それがイシュバールとの争いの本当の火種かもしれない。


話の核を分かりやすくされるのは明解になっていいとは思うが、逆に、底が見えてしまう。
壮大な話の予定調和を予感させる。
出来の悪い作りの方が、何がどうなるのか分からなくて人を引きつける。


鋼の錬金術師』では兄弟愛がテーマの一つになっている。
原作では、初期設定として兄弟の絆は強いと決まっていて、
それを補完するように後からエピソードを小出しにして固めて行っている。
アニメでも同じようにそれをなぞりつつもう少し執拗に刷り込む努力をしている。
また、アニメでは原作より命の重さというテーマに迫っており、これを描く時間を増やしている。
月刊誌で進みが早いので、あるいは作者の力量により、漫画で到らない点をきちんと上手に補正している。


・『鋼の錬金術師』に対する不満について
弟が兄を描くための道具的扱いになっているのが、『鋼の錬金術師』に対する私の不満だ。
兄に比べて弟の描きだしは少ない。主人公を一人にして、それを重点的に描くのは至って普通のことだが、如何に。
鋼の錬金術師」が壮大な大河ドラマで、冒険は終わらない、という超級コンテンツとするなら(『ジョジョ』や『ポーの一族』の様に)
今のストーリーは第一部で、いずれ主人公エドはいなくなり、違う主人公を立て、アルを常にフィーチャーする連続シリーズかもしれない。
エドの話がいつか終わって、アルが主人公の話が始まるのでもいい。
裏主人公はアルで、アルを描く前座としてエドが主人公のストーリーがある、とかいうんだったら凄い。
そういう事なら先述の不満も飲み込むことが出来るし、逆に、激しく可能性を感じてワクワクする。